学生が鍼を学ぶとき、鍼の操作方法を学んで、物に刺して練習します。
そうして操作方法に慣れてきたら、まず自分の体を使って練習します。最初は、一番危険の少ない自分の足に鍼を行っていくのです。
少しずつ慣れていきながら、今度は学生同士が実習でお互いに練習していきます。
私は実習だけでは練習が足りないため、「上手になるために!」と意気込んで、自宅でも一生懸命練習していました。
当たり前の話ですが、そうすぐには上手になりません。
偉大な先生方が何年も何年もずっと工夫しているものなんですから当然ですね。
でも、その時はただひたすら、
「鍼が痛いのは自分の技術が下手で最悪だ!」
「今日も痛い!」
「なんて不器用なんだろう・・・」
「もっと上手に!」
という風に、厳しく練習を繰り返していました。
そんなある日、鍼をした場所が痛いとかゆみが出て小さな発疹が出るようになりました。
そしてついには鍼をするだけでそうなるようになりました。
運良く、「自分はまだ学生なのだから、下手で元々。ゆっくり進もう」と思い直すことができ、そうしてしばらく鍼の練習をお休みしてから、また再び練習を再開してみました。
かゆみはでなくなりました。
どんな気持ちで鍼を扱うのが良いか。深く学ばされたとても大切な思い出です。
人の神経はとてもシステマティックであまりにも正確で、それゆえに情動的です。
もしも、学生のとき、あのまま厳しく練習をしていたら、今は自分に鍼ができなくなったかもしれません。
自分へ語り掛ける言葉には注意をする必要があるようです。
良き日々を
清家雅裕
自分自身へ語り掛ける言葉は自分自身の考えです。それは時に大いに気づかされるものがあります。そういったことを学んでみたい方は是非こちらからお知らせください。ワークショップやクラスについて開催時にお知らせいたします。また、ご感想もお待ちしております。